2005年08月20日

対ユーロ

 アムステルダムに滞在して気になったのは、円とユーロの為替だ。いろいろなものが高くて、アムステルダムの物価というよりも、円がユーロに対して、かなり安くなっている、という感じがした。1ユーロ 130円台だが、100円くらいでちょうどいい、と感じることが多かったのだ。
 クレジットカードの会員誌「GRAN」の連載で、村上龍氏が、フィレンツェのホテルがびっくりするほど高価だったたことを、こう書いている。
 「1ユーロが100円だったら何とか納得できる料金なのだが、ドルと並んで円はゆるやかな下落傾向にあるのでしょうがない」
 為替相場の推移を見ると、確かに 00年末から徐々にユーロが高くなっている。ちょっと詳しい方には、当たり前のことなんだろうけれど、円ードル間の動きしか知らなかった・・。ユーロの動向は、これからチェックしよう。

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2005年08月19日

プラハ&アムステルダム

sky050818.JPGプラハの空
 戦災を免れ、歴史の遺産をそのままの形で残す街並は、突然、その中に放り込まれると唖然とするようなアートの集積。ただ、少し歩くと、その驚きが日常になってくるのは不思議なもの。そうなってくると、観光地として多くの人を集める建物よりも、今も、地元の人にしっかり利用されているような、 "生きた"施設のほうが、僕には楽しめた。 キュビズム博物館が入っている1910年代に建てられた黒い聖母の館の2階は、カフェになっていて、キュビズムの装飾、インテリアに囲まれながら、地元の伯父さんがコーヒーを飲む・・とんでもなく美しい場所。
 ビロード革命から、15年。プラハ郊外は、妙に大きな道路、大きな建物が並び、共産党支配の時代を感じさせる。そして、車は、チェコ国産のシュコダ。排気ガス規制が、まだ厳しくないのか、大通りを歩くと、ノドが痛くなる。
 ヨーロッパ中から大変な数の観光客が集まっていたけれど、日本人がそれほど多くなかったのは意外(アジア系は、韓国語、中国語のほうがよく耳にした)。それでも、お土産グッズが、パッとしないものばかりなのは、本格的な観光都市化は、これからなのだろうな、と感じさせる。

sky0508182.JPGアムスの空
  以前から一度行ってみたいと思っていたアムスにようやく。到着した日、ちょうど、運河でゲイ・パレード。凄い。ニューヨークの比じゃない。観光客も多いが、街そのものが大人の街だ。異邦人ならではの、厳しさもさっそく味わうことになったけれど、徹底した自己責任と、放っておかれる不自由さが、逆に自由を感じさせていい。

 オランダの出版物はデザインが面白いと思っていたけれど、国としてデザイン産業の育成とPRに力を入れている。
'The foreign affairs of Dutch design'
POST AMSTERDAM
 中央駅横にある旧郵便局ビルが、市営現代美術館(仮設)、デザイン事務所やインテリア展示場、クラブに変身していて、いい感じ。「 Mediamatic」の事務所もこのビルの中にあった。
 ・ MoCo Amsterdam

ちょうど、 
foamで、エルスケンの回顧展

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2004年10月03日

●福田直子『大真面目に休む国ドイツ』

また、〝ドイツ〟。2001年の本だから、また少し状況は変わっているだろうが・・。

「1959年代は『労働から体力を回復するための休暇』、60年代は『消費する休暇』、70年代は『冒険休暇』、80年代は『カルチャー・異文化休暇』と、数十年の「休暇体験」を経て、ようやくドイツ人は休暇の「量より質」を真剣に考え始めているようである」
「ドイツ人が衣食住にかける費用で一番比重が高いのはまぎれもなく「住」だろう。しかし、家や住宅を所有している人は全体の40.5%にすぎない。・・欧州諸国内でも最下位に近い水準だ。おそらく持ち家を買いたくても買えないというのが現状だろう。」
「戦後、時短は進み、自由時間は増える一方であった。しかし、人々の生活のテンポはせわしいものとなったのである。・・
 休暇ととるために必死に時間内で仕事を終えなければならない。本業のもたらす賃金の絶対額が少ないとなれば副業にも従事し、株投資に邁進し、税金を減らすための策に新たな時間を割く。事実、この30年で、ドイツ人の生活から睡眠時間が徐々に削られているとう研究結果がある。人々は時短とひきかえに、つまるところ〝時間を売買した〟といえるのかもしれない。
「ドイツの観光産業は、自動車産業に次ぐ重要な産業となった。どちらかというと停滞傾向にある自動車産業に比べ、観光産業の拡大はめざましい。これは同時にドイツが工業国からサービス業国へと推移しつつあることを物語っているのかもしれない。」
状況は、さらに少しわかったけれど、こうした価値観に至る背景がまだ理解しきれない感じだ。

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2004年09月27日

●熊谷徹『びっくり先進国ドイツ』

以前から、ヨーロッパの価値観、ライフスタイルに興味があるのだが、具体的には、
・環境重視
・社会保障制度
・統一通貨ユーロ
・家や家具、モノを長年大切にする生活
といったところか。現在の日本の価値観・ライフスタイルは、そう昔から作られたものではなく、今は特にアメリカの影響が強いことを考えると、この先も価値観・ライフスタイルがずうっと不変であることは想像しずらく、選択肢のひとつとして‘ヨーロッパ的’なものの見方を大きく取り入れてもいいのではないかと思っているからだ。で、今回は、ドイツ。

「ほとんどのドイツ人は、日本人ほど洋服や靴にお金をかけない」
「また強いブランド志向は、ドイツには存在しない」
「ドイツ人が比較的金をかけるものといえば、住宅と旅行だ。日本に比べると労働時間が短く、自宅で過ごす時間が長いので、快適な住環境は重要なのである。だが住宅についても、自分の手で修繕して費用を抑えようとする」
「ドイツ人が倹約家になる理由は、可処分所得が低いことである。ドイツの勤労者の平均年収は、2002年の時点で2万6千ユーロ(約338万円)。ドイツ市民の年収は、日本人のほぼ半分ということにある。」
「こう書いてくると、ドイツは日本に比べて貧しい国に見えるかもしれないが。お金に換算できない「豊かさ」がある。たとえば、都市でも公園が多いため、ジョギングや散策を手軽に楽しめる」
「人口が一部の大都市に集中しておらず、多くの都市に分散しているので、大都会でも東京のような過密状態になっていない。日本に比べると通勤に時間がかからないし、住宅もゆったりしている」
再び「豊かさ」って何?と考えさせられる。社会資本も、また誤った近代への反省も、大量に蓄積されているヨーロッパの発想には見習う点が多い気がする。

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2004年05月24日

●中島早苗他『北欧流・愉しい倹約生活』

マイブーム(^^;)の‘ヨーロッパの生活’シリーズ、今回は北欧編。住宅雑誌の編集者だった女性が、北欧の人々の暮らしをレポートするのだが、いまいち。北欧在住歴が長いというわけでもなく、北欧の人々との交流が深く描かれているというわけでもなく、中途半端だ。流行りの北欧インテリアに、これまた流行り?の「倹約生活」と「エコ」を加えて・・という企画に問題があったのかも。
コペンハーゲンの小中学校には、歯科医師が常駐していて歯列矯正も学校でやってくれる、というようなユニークな情報もあるのだが、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの各国を‘北欧’とひとくくりにすることが多いので、各国の違いがよくわからないのが残念。また、比較対照として日本をとりあげる語り口は、どうしても説教臭くなるわけだが、これも度が過ぎるとシラける。‘物質主義的な考え方は、いかにも時代遅れだと思います’とか‘これからはヨーロッパ並みに、夏休みを取れるよう経済界全体で真剣に考えてみたらいかがでしょうか’とかただ言われても笑うしかない。
それでも、紹介される北欧のライフスタイルに、現在の日本にない何かがあるのは事実。その隔たりの原因を制度面や歴史や精神史などからもっと探る必要はある。

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2004年05月21日

●島村卓爾他編『EU入門』

というわけでもう一冊。政治・経済・法律の3分野の学者・研究者で構成される「日本EU学会」というのがあるらしく、そのメンバーが編者となった専門的?入門書。政治・経済・法律の各分野の専門家が各章に別れてEU分析をしているのだが、細かくはあるのだが踏み込みが少ない、という感じでいまいち。特に経済分野が期待はずれ。出版が2000年3月だからユーロの経済的効果については、まだはっきりしたことが言いにくかったのかもしれない。
ユーロのデメリットについてメモ。
・参加各国にとって、為替による景気調節機能を放棄することになる。
・この点について「最適通貨圏構想」を主張するアメリカの経済学者たちが、強く懸念を表明。
・「最適通貨圏構想」での、通貨統合を実現できる必要条件は、
 ・各国間の経済水準の収斂
 ・労働者移動の自由化、
  あるいは財政連邦主義の確立(景気の悪い国への財政支援をする制度的枠組み)
 この点で、EUは不十分。
 ただEUは、域内貿易の比率が大きいため、為替調節の重要性がそれほど大きくないという反論もある・・。
  

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2004年05月17日

●田中文憲『手にとるようにEUのことがわかる本』

先日NHKで放送された『シリーズ 大欧州誕生』がひじょうに面白かった。5月1日にEUに10カ国が加わって、25カ国、4億5千万人の巨大な市場が誕生している。その激変を経済と安全保障の視点から追ったものだ。ここ数年、ヨーロッパのライフスタイルや価値観、経済、政治に興味があって、ぽつぽつと関連の本を読んでいたのだが、あらためてEUの動向を知る必要性を感じて、入門書からはじめる。
事実上の連邦をめざすに至る原因となった70年代〜80年代の停滞。日米に経済的に敗北したという意識。89年の冷戦終結、90年のドイツ統一。ユニテラリズムを強めるアメリカへの対抗。さまざまな要素が絡み合ってすすむまさに「偉大な実験」。面白すぎる。
関連入門書を探すために本屋の棚を見たのだが、EU関連の本は意外に少ない。この本も、99年の通貨統合に合わせて出されたものだ。アメリカがあんな状態だからというのもあるが、環境政策を見ても、これからますますEUの考え方に注目が集まる気がするが・・。

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2004年04月19日

●内田洋子『イタリア人の働き方』

ここ数年、ヨーロッパ(特にオランダ)のライフスタイルや価値観に興味があって、関連の本をいくつか読んでいるのだが、その流れで、今回はイタリア。社会福祉や、産業、教育の構造といったマクロな視点も面白いが、個人個人がどんな価値観を持って生活し、働いているのかを知るのは楽しい。女性が書き手になると、特に後者に視点に立つものが多い気がする。この本も、‘一人で仕事を始め、会社を興し、実績をつくり、名を知られるようになった’15人のイタリア人に取材したもの。
ベネチア一の水上タクシー運転手、個人向けスタイリスト、自転車界のフェラーリと呼ばれるコルナーゴ、年に1500本しか作らない生ハム職人・・なかでも、巻頭で紹介されるローマで靴磨きを始め、評判を呼んでいる女性の話が面白い。
紹介された人々の言葉から感じられるのは、自らの仕事に対する強烈な誇りだ。あえて年間1500本しか作らない生ハム職人はこういう。

「生産規模をもう少し拡大すれば、何百倍、何千倍もの収入増につながるのですが、それでは私も他の大多数の普通の生産者になってしまう。現状で満足です。少量生産だがイタリアで最高品質の、無敵の生ハムを作れるほうが、ずっと誇り高いことだと思います。
 私がこの手で作り、商標印を押したハムを味わった人は、一生、その味を忘れないでしょう。もし目隠しをされて試食しても、私のハムの香りと味わいは絶対に食べ当てられるはずです」
 また、一から事業を興して、カシミヤ製造業界で世界トップメーカーの一つになったクチネッリは、会社の利益を、保育園やサッカー競技場、村の教会の修復、美術館、劇場の運営に当てる。
「会社の基盤は、人です。<儲けなくていい>ということを申し上げているわけではありません。・・ただ利益を出すことだけが目的でない、それ以上に重要なことが生きていればあるでしょう、ということなのです。経営者である私の個人預金額がいくら増えても、何の意味もないことです。・・
 私たちは、<倉庫番>のような気持ちで働いていて、自分たちの倉庫からたくさんの夢を送り出したいと考えます。私たちが生きている時代に預かっている大切なものを、後世の人たちにきちんと残していきたい」
ここで紹介される人たちが、ファッションや食、娯楽に関わる職業が多いのは、著者の好みのあるだろうが、イタリアの特徴を現しているように感じられる。
 人口5700万人の国で法人登録が2000万社あるというイタリア。これまで社会インフラに投資されてきた蓄積の違いも思い知るが、いわゆる「職人」的な価値観は、日本でもかっては強く残っていたはず。日本でもいつの日か、こうした価値観を持つことは可能なのだろうか・・。自分の周りにこうした事例が現れることで徐々に変わっていくのだろう。そのためにも、‘成功例’が、たくさん紹介されるのはいいことだろう。

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2004年03月26日

「監視社会」EU世論調査

24日の朝日新聞「開戦から1年(5) 監視社会」から。
・テロ撲滅のため電話の会話をモニターすべきか(EU加盟国平均、03年調べ)
 賛成61% (容疑者なら賛成40%、裁判所の監督下で賛成14%、全員をモニターすべき7%)
 反対33%
わからない6%
・警察の個人データ利用をどう考えるか
 信頼する (91年55%、96年65%、03年72%)
 信頼しない(91年33%、96年27%、03年21%)
国別では、イギリスはほぼ横ばい、フランスは41%→67%、ドイツは48%→75%

テロへの不安の高まりが背景にあるのだろうが、電話のモニター監視を6割以上の人が容認しているのは意外。

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2004年01月17日

ドイツの放浪職人

17日のNHK-BSで「放浪職人“ヴァルツ”が行く ドイツ・若者たちの大工修業」を観て驚く。ドイツのマイスター制度は、厳しいものだとは聞いていたが、これほどとは。番組案内にこうある。
「ドイツの職人世界には、11世紀から現代にまで続くユニークな制度がある。有能な大工の親方になるために、厳しい放浪修業を課す「Waltz」(ヴァルツ)という制度である。若者達は、家族を残して故郷を離れ、ヨーロッパ各地の工房を点々とする。移動は徒歩とヒッチハイク。この放浪を通して、技術を磨き、親方に必要な精神を鍛錬していく。放浪修業に挑む若者を密着取材し、中世より伝わるドイツの職人世界を描いていく。」
マイスター制度は、徒弟、職人、親方(マイスター)と3階層に分かれていて、親方になるために、工房での3年の労働か、3年と1日の放浪修業が課されている。現代ではさすがに放浪を選ぶ若者が少なくなっているが、現在、150人ほどが放浪して、歩いて(もしくはヒッチハイク)各地の工房を回り、職を探しながら修行する。運良く職が見つかり、そこで大工や家具職人としての仕事が見つかればいいが、そうでなければ野宿をしなくてはならない。
放浪職人には、他にも厳しい決まり事がある。古くから伝わるコールテン素材の黒色のジャケット、パンツにベスト、そして白いシャツと黒い帽子。持ち運べるものは、着替え一式とわずかな下着。親の葬式以外は実家に帰ることは許されない。そして、各地の職人組合に古くから伝わる儀式があり、その儀式に則った挨拶を交わす必要がある・・。
こうしてドイツだけではなく周辺各国まで放浪した後、マイスター試験を受け、その試験に合格して始めてマイスターの資格を得ることができる、という。

プロテスタントの「働く倫理」が関係あるのだろうが、技術だけではなく、職を得ることの難しさや嬉しさや働くことの楽しさを感じることが重要だ、ということなのだろう。
ヨーロッパの奥深さを見た思い。こうした厳しい修業の上に成り立つマイスターは、社会的にも、医者や弁護士同様の高い地位だという。職人へのこうした尊敬の念があるからこそ、家や家具も、貴重な財産として長い間丁寧に扱われるのだろう。美しい家並み、街並み、の背景にはこうした制度、意識がある。
昨年、ヨーロッパの社会構造、社会制度に関心をもち、何冊か関連本を読んだ時期があったけれど、再び、ヨーロッパ社会へ興味がわく。

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2003年09月16日

●『THE OFFICIAL TOUR DE FRANCE CENTENNIAL1903-2003』

book030916.JPG
book030916b.JPG今年は、テレビの中継が見られなかったツール・ド・フランス。フジTVは、ここ数年、徐々に放映時間を減らす方向で、撤退に向かっているような気がするが、その判断、間違ってると思う。これから来ますよ・・(^^;)。まぁ、日本人が関わっていないし、欧州サッカーの扱いを考えれば、仕方ないのか・・。

で、この本。おみやげでもらう。1903年からツールの歴史が、1年1見開きで紹介されている。特に、驚くのは初期の写真。タイヤのチューブを何本も身体に巻き付ける選手たち・・という資料的な面白さとともに、写真そのものが素晴らしい。
僕は、個人の写真家の作品集、という体裁の写真集よりも、こうした編集によってさまざまなカメラマンの写真が集められた‘ビジュアル本’が好きだ。本という形になった時は特に、もちろん何人かの例外はあるけれど、カメラマンのアート性よりも、‘写真’が集められた編集の視線が見えるような本が好きなのだ。こういうスタイルのビジュアル本は、日本では、なかなかお目にかかれない。以前、SVの特集で何度か試みたこともあったけれど、なかなか制作費が大変。ウェブでやろうとしても、‘ビジュアル本’の楽しさを、なかなか表現しづらいのは、ウェブ・パブリッシングの悲しいところ。

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2003年07月28日

●平田オリザ『芸術立国論』

「かっては、地方にこそ、「無駄」なもの、「無駄」な時間、「無駄」な空間が溢れていたはずだ。伝説、伝承、お化け、鎮守の祭り・・。しかし村落共同体が崩れ、全国一律の近代化を達成した現代日本においては、そんな無駄なものは、どこを探しても見つからない。無駄な場所や時間を失った地域は、価値観も画一化し、重層性を失って安定性を欠く。
 無駄のない社会は病んだ社会だ。すなわち、芸術家のいない社会は病んだ社会だ。多様性、重層性のある社会は民主主義の根幹である。それを保障するためには、どうしても芸術家の存在が地域社会の中に必要なのだ。」
「成熟した消費社会においては、サービスこそが産業の中心となる。芸術文化は、消費社会における基礎研究、基礎学力の役割を担う。このような社会は、国民個々の感性や発想力が国力を左右する。
 これからは、「何を売るか」よりも、「いかに売るか」が問われる時代だ。この「いかに」という項目は、まさに一人ひとりのセンスが問われる部分だろう。これまでは、そのようなセンスは、一部の芸術家、芸術愛好者の独占物であった。しかし、これからは、そのセンス、感性を国民全体が共有することが求められる。一人ひとりの異なった感性が全体で一つの国力となる時代が来る。
 具体的には、地域に、最先端の、特色ある文化施設を作り、個性的な運営をしていくこと。それは地域に活力をもたらすとともに、新しい雇用を促進し、有能な人材を地域が確保する場ともなるはずだ。」
〜〜〜〜〜〜
意外と言っては失礼だが、ひじょ〜に面白かった。大きな国家目標を失い、産業構造の変化を迫られる中、精神を病む人が多いという日本の現状を憂う声はしばしば聞くが、具体的な解決策というと、なかなかお目にかかれない。ここでは、「芸術文化」こそこれからの社会で重要だと主張する。さらに、アートマネージメントという経済的な視点や文化予算がどう使われるべきなのか、という政策にコミットしている点が特徴的か。
7/25の「自殺者、5年連続3万人超」を書いた直後だけに、頷くこと度々。
芸術文化政策のいい例としてフランスの例が挙げられているが、日常の中での労働と芸術の自然な融合の例では、昼は田を耕し、夜は芸術家になるバリ島の人々の生活を思い浮かべる。

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2003年06月01日

進行するユーロ高の背景

内閣府の今週の指標「進行するユーロ高の背景」。
2001年後半からのユーロ圏の経常収支の黒字増加、他方、史上最高のアメリカの経常収支赤字。2001年春以降の金利差プラスによる機関投機家のユーロ買い。米欧政策当局が為替の動きを放置するのではないかという思惑・・。
 で、この動きが進行するとどうなるのか。何も起きないのか。何の影響もないのか・・。

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