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2009年04月26日

●岩田規久男『世界同時不況』

また岩田氏。半年ほどで3冊目? 当たり前だが基本的には同じ考え方が、少しずつ深みや対象を変えて展開されてきた。

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ここでは、1930年代の世界大恐慌と昭和恐慌を振り返り、以下のような展開。

「米国がデフレの脱出に成功した後に、大不況を終焉させたのは、戦時の財政支出の増加ではなく、欧州からの金の流入の結果生じたノーマルな記事を大幅に上回る貨幣供給量の急速な増加であった。

「2009年3月はじめ現在の各種経済統計から判断して、今回の不況は昭和恐慌以上の激しさである。しかし、日本銀行の政策を見ていると、それほどの危機感はないようであり、高橋財政に学べといっても、日本銀行はそれに学んで動きそうにない。
 この状況に至っては、政府は早急に、時限的に、財政法と日本銀行法を改正して、景気が回復するまで、国債の日本銀行引き受けを実施すべきである。その際、高橋蔵相亡き後のように、国債の日銀引き受けに歯止めがなくなることを防ぐためには、インフレ率に3%程度の上限を設定すべきである。」

これだけ読むと、素人からすると論理的には穴がないように読めるが、こうした考え方が、多くの経済学者やマスコミの中で大きな勢力になっているようには見えないし、どれほどの影響力を持ちつつあるのかもわからないのが虚しいところ。

経済学者の意見がいかに実際の経済政策に反映されるか、というルートがわかりにくく、たとえ経済学者の主調が行われたとして、それが実際の政策に何か影響を及ぼすものかどうかもよくわからない。また、政党間で経済政策の違いがそれほど明確なものでないので、一個人の唯一の選択参加手段の「選挙」が経済政策選択の場になっていないことも、虚しさを感じさせる要因だ。一個人の生活に大きく影響を与えるはずの経済政策の選択が、とて〜も遠いもののように感じるのだ。

投稿者 esaka : 00:52 | コメント (0) | トラックバック

2009年04月25日

●竹中正治『ラーメン屋 vs.マクドナルド』

エコノミストが、アメリカ在住時の実際の経験をもとに日米の文化のそれぞれの特徴を、通説を覆して、独自の論を展開する。

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大統領は希望を語り、総理大臣は危機を語る。アメリカ人は対面でディベートし、日本人は匿名でブログする。日本にビル・ゲイツはいないが、小金持ちはたくさんいる・・。
それぞれ面白いし、論理的でもあると思うが、エコノミストとしての体験談と、日米文化論と、軽めのコラムが混在していて、一冊の本としては惜しい感じ。 編集の問題か?

投稿者 esaka : 00:50 | コメント (0) | トラックバック

2009年04月19日

●色川武大『うらおもて人生録』

・・ということで、阿佐田哲也より純文学色が強い本名・色川武大 名義の本をいくつか読む。その中では、『うらおもて人生録』が楽しめた。

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西部邁による文庫版の解説から。

「・・は、非行の天才の手による劣等生向けの教育書である。……著者の「どろどろの体験」にさりげなくもとづきながら、劣等生が「生きていくうえでの技術」を「自分なりのセオリー」として「身体にしみこませる」ことができるように諄々と説いている。……「人間なり、世間なりのレベルは手ごわい」こと、そして「真実というものは、二律背反の濃い塊りになっている」こと、これらの事柄を知るのは魂の技術によってであり、ひとたびこの技術を習得すれば、劣等生にも非行者にも魅力的な人生がありうるのだと著者はいう。
 魅力とは「自分が生きているということを、大勢の人が、なんとか、許してくれる」ようにさせるような力量のことである。好むと好まざるとにかかわらず勝負を基調にする世間において、ひとます敗者の地位にある劣等生は、優等生には易いこの許しを獲得するために、悪戦を強いられる。迂回、沈潜、飛翔をとりまぜて動員しなければ、「これを守ってきたからこそメシが食えてきた、そのどうしても守らなければならない核」としての「フォーム」に達することができない。この「たたかいのしのぎ」を教えてくれたのは、著者にあっていうまでもなく博打場である。
「運の通算はゼロになる」こと、そうであればこそ「運をロスしない」こと、「大負け越しになるような負け星をさけていく」こと、つまりは「九勝六敗ぐらいの星をいつもあげる」こと、こうした様々なセオリーを、「原理原則は愛嬌のないものだ」と知りつつ、わからなければならない。……「苦を自分でひろっていく」こと、「ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていく」こと、つまり「洗練された欠点」を身につけることが大事であって、負けまいと踏ん張ってばかりいれば、怪我をする。
 しかし、・・非行者はどうすれば「わかる」のであるか。実行はむずかしいが、その原理は簡単である。当たり前のことを憶えていればよいのである。「大勢の人たちに関心を持つ」こと、・・そしてなによりも、「人間とは愚かしくも不恰好なもなり」と知ったうえで、「大勢を好きになることで、自分の感性の枠を拡げる」ことを忘れなければよいのである。
 「人を好きになること、人から愛されること」、著者の味わってきた熾烈な人生のしのぎは会いを前提にしている。照れ性の著者にかわって照れずにいえば、人生のうらおもてに愛をつらぬけ、これが本書の主調音である。・・・・
 人生論はいまどきの流行ではない。いわゆる「知」とかが人生や体験をこのうえなく侮蔑し、人生なしの芸術、体験なしの知識が言葉のショー・ウィンドウに並んでいる。今の時代の優等生とは、このガラスのなかの陳列競争の勝者ということであり、これが時代の本線である。著者は劣等生にたいして、「本線とはちがうコースがみつかるといいんだがね」と静かに誘いかけている。」

 経験に裏打ちされた、ひとつひとつの言葉の重みに驚く。単純な言葉の裏に、そこまで至った経験の熾烈さを想像させて圧倒される。近頃は、MBA出身者などによるライフハック的仕事術が大流行りだが、あの薄っぺらさが際立つ。こちらこそ、まさに真のライフハックと言えるかもしれない。

投稿者 esaka : 01:19 | コメント (0) | トラックバック

●阿佐田哲也『新麻雀放浪記』

ケータイサイトでマネックスの松本大氏が「経済の本質をつかむ本」として阿佐田哲也『新麻雀放浪記』を勧めているのを見かけさっそく手に取る。

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松本氏の解説は、

「金融や投資、マネーを考えるといった時に、欲や運というのは常に考えておくべき、基本中の基本です。この本はとくに”運"──”ツキ”を追求し、あらゆる角度から書いている。といっても、説明めいた内容ではなく、あくまでエンターテイメントとして愉しめる小説。”ツキ”の特性を掘り下げている希少な一冊であり、投資やビジネスを考える上でもためになる本ですね」

欲というのはわかるが、運を考えるのが金融を考える上で基本中の基本、という考えに驚く。
阿佐田哲也は、これまでいろいろな人に勧められてきたのだが、なぜか読んだことがなかったのだ。いったん嵌まると徹底的にやりがちな自分を質を考えて、ギャンブルに関わる情報は、できるだけ避けるようにしていたのかもしれない。
で、『新麻雀放浪記』は、さすがに面白く、う〜ん、危ない予感・・笑。

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