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2007年03月28日
●ティム・ハーフォード『まっとうな経済学』
まさに"まっとうな経済学書"。このまっとうさが、日本ではありそうでなかなかない。スタバのコーヒーの値段といった、ごく身近な題材から、ロンドンの交通、アメリカの医療、そして環境問題、さらにカメルーンや中国への旅の経験から、経済の発展、貿易の意味まで解説。それでいて、経済学書にありがちな、ただ学説を説明するための本でもなく、敵対するエコノミストを罵倒するわけでもなく、「経済学者は世界をどのように見ているか」ということが、まさに"まっとうに"書かれている。

「経済学の大部分はGDPはほとんど関係しない。経済学とは、誰が、何を、どのような理由で手に入れるのかを知るための学問だ。この意味では、きれいな空気や円滑な交通は「経済」の一部である。……人生には、経済指標で測れるものよりずっと大切なことがある。それは経済学者だって知っている。」
「現時点で最も切迫している環境問題、そして、気候変動の脅威を考慮に入れても、私たちの未来にとって最も深刻であろうと思われる環境問題は、世界の非常に貧しい人々が苦しんでいる問題でもある。その一例が、失明や命にかかわる呼吸器疾患を引き起こす致命的な薪ストーブによる家庭内汚染だ。不衛生な飲料水も、何百万もの命を奪っている。こうした環境問題の解決策は経済成長の実現することであり、貿易はその後押しをする。」
「「フェアトレードコーヒー」や「無搾取衣料品」といった局所的な対応で、何百万という人びとの生活が大幅に改善することは絶対にない。……貧困国が広範囲にわたって発展しないかぎり、最貧民層の生活水準が向上することも、コーヒー価格が上昇することも、製靴工場の賃金と労働条件が改善することもけっしてない。
こうした広範囲な発展は起こりえるのだろうか。それは間違いなく起こりえる。発展途上国の何十億という人びとは親の世代に比べてはるかに豊かになっている。平均寿命は伸び、教育水準は高まっている。」
類書と言われるレヴィット&ダブナー『ヤバい経済学』のほうが、オリジナリティのある切れ味の鋭さが際立つけれど、"まっとうな経済解説"が、メディアでなかなか拝見できない日本では、この『まっとうな経済学』が多く読まれたほうが有益な気がする。
投稿者 esaka : 2007年03月28日 14:36
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