« ●橘玲『永遠の旅行者』 | メイン | ●小林雅一『コンテンツ消滅』 »
2006年01月31日
●西正『IT vs 放送 次世代メディアビジネスの攻防』
既存のメディアが、ネットの登場によって、その将来を危ぶむ・・というのは、インターネット出現以降、よく見られてきた姿。思いつくところでも、津野海太郎『本とコンピューター』(93)、湯川鶴章『ネットは新聞を殺すのか』(03)、津田大介『だれが「音楽」を殺すのか?』といった本がそうした問題を扱っていて、出版、新聞、音楽産業の順で、デジタル化への対応に直面してきた。その流れでいえば、この本は、「ネットはテレビを殺すのか?」といったもの。
去年から騒がれている"放送と通信の融合"というと、よくあるのはITを専門とする者が、通信が放送を飲み込む、というスタンスで話を展開させがちだが、この本は、どちらかというと既存のメディア側にたって、変化せざるをえない今後の対応、選択肢を詳細に模索するというもの。それゆえに、IT専門家が語るより、リアリティがあるともいえる。
例えば、NHKの受信料制度や、民放のテレビ広告市場の縮小によって、地上派放送のビジネスモデルが限界に達し、無料放送が消滅することを恐れる。これによって、
「結局のところ、今の地上波放送のビジネスモデルが大きく変わることになれば、視聴者にとって不幸のシナリオしか描けそうにない。何事もほどほどにしておくことが肝要である。既存の地上波放送のビジネスモデルが壊れつつあるのは利便性優先主義によるものとはいえ、誰もが盤石と思って安心しきっていた足元の部分が少しずつぐらつき始めていることに、視聴者自身も早く気がつくべきだろう。」まさに大人の発言だが、同じ立場にたっての"規制"は目にしたくないもの。
投稿者 esaka : 2006年01月31日 00:17
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://editreal.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/953