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2005年10月25日

●三浦展『下流社会』

 9月の刊行時には、書店で手に取ったのだが、なにか気が滅入りそうだったので買うのはやめていた。だが、先日、佐々木俊尚さんにいただいたブログの原稿「パソコン・インターネットは"貧者の娯楽"?」が面白かったので、再び手に取る。
 いやぁ、面白い。30代前半を中心にした団塊ジュニア世代(71年〜75年生まれ)の消費、生活スタイルを綿密に調査することで、その「下流化」傾向をあきらかにしようとする。数字からこぼれ落ちる真実がある、ということはふまえた上でも、並べられた数字のインパクトは強烈。
 

「「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。
 団塊ジュニアは日本の社会が中流になってから生まれた初めての世代だ。だから団塊ジュニア以降の世代は著しい貧富の差を見たことがないまま育った。・・みんながそこそこ豊かだ。それが当たり前なのだ。だから、「下」から「中」へ上昇しようという意欲が根本的に低い。」

 この本の中心となる団塊ジュニアの傾向調査の前提として「階層化による消費者の分裂」が描かれていて、これがまたユニーク(この本の中では例外的な描写だが)。女性を「お嫁系」「ミリオネーゼ系」「かまやつ女系」「ギャル系」「普通のOL系」、男を「ヤングエグゼクティブ系」「ロハス系」「SPA!系」「フリーター系」と類型化。面白いのはその特徴描写。この傾向についての調査が詳しく出ていないので、理由づけがわからないところがあるが・・具体的な人物をはっきり思い浮かべながら、笑った。

■ヤングエグゼクティブ系

「高所得者志向で出世志向も強い従来型のビジネスマン。当然比較的高学歴であり、性格的にもポジティブで趣味はスポーツなど外交的。結婚、家族形成も当然すべきことと考え、まったく迷いがない。一流企業志向であり、典型的には商社、金融、IT系に多い。
・・消費面では、住宅、インテリア、財テク、旅行志向が強く、外車好きである。もちろんネットトレードはしている。しかし、自分自身の独自の個性的な価値観はなく、あくまで、人がよいと思い、欲しいと思うものをいち早く手に入れることに喜びを感じるタイプである。よって、六本木ヒルズ、港区の三井不動産のマンション、BMW、ロレックス、タグ・ホイヤーなど、わかりやすいステイタスが好き。ビジネス用のバッグはお約束でTUMIかゼロハリバートン。」

■ロハス系

「いわゆるスローライフ志向である。この志向を持つものは比較的高学歴、高所得だが、出世志向が弱い。マイペースで自分の好きな仕事をしていきたいと考えるタイプだが、嫌な仕事でもそつなくこなす業務処理能力もあるので、フリーターになるタイプとは異なる。ヤングエグゼクティブ系の男に対しては、教養がなく厚苦しい奴だと内心軽蔑している。
・・消費面では、有名高級ブランドには関心が弱いが、ひとひねりしたそこそこのものを買うのが自分らしいかなと思っている。外車が好きだが、ベンツやBMWではなく、できればジャガーやプジョーがよいと思っている。高級感や値段でおどかすものより、知性と上品さが重要。品質、製造方法、伝統、文化などについての蘊蓄があるものを好む。よって無印良品もやや好き。環境問題に熱心なアウトドアウェアメーカーのパタゴニアなども支持する。」

投稿者 esaka : 2005年10月25日 22:12

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