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2005年09月08日

●石渡正桂『スクラップエコノミー』

 千葉県庁で産業廃棄物行政を担当して、産廃Gメンの設立に関与した著者は、この本では、都市再生政策や住宅の向け金融政策、さらに戦後日本の経済慣習を問題にする。産業廃棄物が不法投棄される社会的な構造を考えて行くうち、そういう視点に至ったんだろう。

「豊かさの中の貧困というジレンマから抜け出すには、フロー重視、ストック軽視の経済構造を改め、都市の破壊と建設を止め、住宅の財産としての価値、都市の社会資本としての価値を回復しなくければならない。そのためのキーワードになるのが、低回転社会モデルである。」
「住宅の寿命は、物理的、法的、経済的、歴史的という4つの捉え方ができる。常識的には、取り壊されることで住宅は物理的な死期を迎える。住宅の平均使用年数は、日本では26年、アメリカでは44年、イギリスでは75年と言われる。・・日本の住宅は自動車と同じ耐久消費財にすぎない。」
「莫大な公共投資を続けてきたのに、日本の都市がその投資額に見合うだけの社会資本を有していないのは、スクラップ&ビルドの都市建設の構造に原因がある。
 スクラップ&ビルドの伝統は、明治期以降の殖産興業と戦後の復興重要によって培われた、日本独特の都市開発の構造であるとも言えるし、殖産興業・戦後復興を永遠に続けるためのトリックであるとも言える。」
 ここ数年、ヨーロッパのライフスタイル、価値観に興味があるのは、ヨーロッパが、日本にない豊かさをヨーロッパが実現していて、それは、ここでの言葉で言えば、フローよりもストックを大切にする社会を実践している、と感じるからだ。身近なところでは、日本のお粗末な住宅に対しての不満があるし、モノを買うことでしか、豊かさを認識できない社会に属していることの苛立たしさが常にある。

 こうした差が生まれる原因には、税金や制度などの社会システムの違いと、習慣や倫理・価値観の違いがあるはずで、この本は、システム面を問題にしている。
 住宅問題については、中古住宅市場の確立、土地所有権の分割(所有と利用)、相続税の廃止、などが書かれているが、欧米との違いについては、もう少し勉強しないと・・。

投稿者 esaka : 2005年09月08日 02:16

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