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2004年09月30日

●橘玲『得する生活』

タイトルやサブタイトル(お金持ちになる人の考え方)からは、ありがちな利殖ハウツゥー本を予想するが、以前のエントリーでも書いたように、この人はやっぱり凄いわ。経済学者ともエコノミストとも、ファイナンシャルプランナーとも違う、市井のケイザイ生活思想家、とでもいうような趣になってきた。
この本でも、真ん中のクレジットカードやリゾート会員権の話よりも、前書き、後書きにあたる部分がいい。今回は、ノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・ベッカーの主張を積極的に翻案。

「国家が貧しい人たちの生活を支援すると、働かずに国家に寄生して生きていこうとする人が増える。このようにして、崇高な精神から悪徳が生まれる。・・
 人類の歴史は、平等な社会が独裁国家の恐怖政治を生み出すことを教えてくれる。完全な平等を実現するためには、大規模な国家の介入が不可欠だからだ。・・
 人類の理想である「平等な社会」は、「地獄」の別名なのだ。
 自由な競争は経済的な勝者と敗者を生み出し、平等を阻害する。平等な社会は、自由を抑圧することでしか実現しない。これが自由と平等のパラドクスだ。」
「学問は時として残酷な事実を私たちに告げる。
『貧しい人は心が美しく、金持ちはずる賢い』
これは世間一般の常識だが、残念ながら誤りである。各種の調査によれば、成功者ほど他人を信頼し、貧乏人ほど疑り深く、猜疑心が強いという傾向が顕著に現れている。・・
 人的資本の蓄積は経済的な成功をもたらし、成功者はお互いを信頼し合うことで関係資本を築き、より多くの収益機会を手に入れていく。信頼を失った者は誰からも相手にされず、人的資本も関係資本もやせ細り、ますます貧乏になっていく。
 これが、私たちの社会の身も蓋もない現実である。」
まさに、この身も蓋もないところから、始まるのだが、「あとがき」はこうだ。
「人生を豊かに生きるのにカネはさほど重要ではない。なければ困るが、所有するカネの量に比例して幸福が増大するわけではないからだ。・・
 生きるということは、与えられた有限の時間の中で自らの人的資本を最大限に活かし、より多くの効用を獲得することだ、カネはそのための手段であり、それ以上のものではない。・・
 すべての幸福をカネで購うことはできない。これは紛れもない真実だ。だからこそ、無駄なことに貴重な時間を費やしている余裕はない。
 経済合理的に生きる意味はここにある。」
リバタリアン?橘玲は、かっこいい。

投稿者 esaka : 2004年09月30日 17:44

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