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2004年07月21日

●柏木博+中村好文『普請の顛末』

デザイン史家で、これまで幅広くデザイン批評をしてきた柏木博氏が、どんな家を建てたのか興味がわいた。01年出版の本。しかし、やはり自邸が対象となるといつものように切れ味鋭く・・というわけにもいかない。人生の中でそう幾度もある買い物ではないし、いったん建ててしまうと、変更の自由度は限られている。やはりある程度は、理想のイメージと現実の姿に間にはギャップがあって、施工するまでに建築家と会話する間、妥協やあきらめがあっただろう。が、ここで、その過程で何が考えられたのかはわかるのはいい。

「欧米では、100年以上使っている住宅は少なくない。それは、そのデザインがいわば住宅のスタンダードとされ受け入れられているからだろう。・・
 新たな住宅のひとつのスタンダードはできないだろうか。このことは、家をつくるにあたって、わたしにとっては、やはり重要なテーマとなった。しかし、この問題をどのように扱っていけばいいのか、にわかに解決策を提案することはできない。中村さんに伝えたのは、イメージだけである。「質素で豪胆」なデザインというきわめて感覚的な言い方でしか伝えなかった。」
「日用品や家具や自動車のデザインが次々にモデルチェンジされるようになったのは、1930年代のアメリカにおいてであった。・・このモデルチェンジの手法は、ファッション・デザインでおこなわれていた手法を引用したといわれている。そうした手法によって、消費のサイクルが加速されるようになるわけだが、戦後の日本では、それが非常に過剰になってしまった。」
「買い物のなかでも住宅は、もっとも大きな買い物である。その住宅が、戦後、日本ではおよそ25年から30年ほどで、いわが使い捨てられてきた。住宅もまた、他の商品と同様にモデルチェンジされ、消費の対象となったのである。すぐに巨大な廃棄物とされてしまうということだ。
 そうした浪費をやめることは、いまや個人的な問題ではなくなってきている。社会的なコストや浪費の問題とかかわっているのである。」

そういえば、この柏木邸の設計を担当したのは中村好文氏と中村事務所の佐藤重徳さん。で、この佐藤さんは、柏木邸の仕事の前に、村上春樹邸を担当していたという。中村氏によると「足かけ三年にわたって作家・村上春樹夫妻の、規模といい、内容といい、気の張り方といい、すべてにおいて半端じゃない(本文は傍点)住宅の設計と工事監理を担当しており・・」。どんなふうに半端じゃなかったのか気になる〜。村上邸はメディアで紹介されていたりしたのだろうか。村上氏の小説のほうは、ほとんど興味をなくしてきているが、どんな住宅を作ったのかは、なにかとても気になる。

投稿者 esaka : 2004年07月21日 22:11

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