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2004年03月18日

●松浦晋也『国産ロケットはなぜ墜ちるのか』

宇宙開発は、華やかなイメージの裏で、軍事、政治が強烈に絡み合って進められる大事業だけに、なかなかその実態が理解しにくい。その意味で、日本の宇宙開発の現状を多角的に検証しながらその問題点を探ったこのレポートは貴重。

著者は、日本の宇宙開発がかかえる問題をこう指摘する。
・慢性的な予算不足による開発試験の不徹底
・官僚と現場技術者との齟齬
・組織の論理を危機管理に優先する姿勢
・政官の理工系に関する無教養
・儲けたくても儲からない官需の仕組み
・極度のアメリカ依存

まとめるとこうなるのだが、驚くような具体例が満載だ。
・H-IIは、世界的な相場の半分のコストで開発され、H-IIAは、5分の1。
・2002年度の宇宙産業の規模は3300億円。
・日本政府は、宇宙開発を‘先進国サロン’に入るためのネクタイだと思っている。
・テポドン発射以来、急浮上した情報収集衛星。期間5年間、2500億円で開発。(著者の分析では、98年の「テポドン」は衛星の打ち上げだった。)
・その性能は、アメリカの民生用地球観測衛星以下。
・情報収集した後の画像解析技術の不足。
・地球観測衛星「みどり」は、三菱電機、東芝、日本電気に均等に発注。
・2007年完成予定だった国際宇宙ステーションの建設は、スペースシャトル「コロンビア」の事故で白紙。3100億円かけた日本モジュール「きぼう」は、ほぼ完成して、アメリカに出荷されているが、いつ打ち上げられるのかは未定。打ち上げられたモジュールもももすでに老朽化。
・2002年6月の内閣府・総合科学技術会議で今後の宇宙開発計画について「今後10年程度、有人宇宙活動について、独自の計画を持たない」と発表。最初にスペースシャトルを使った有人宇宙活動に踏み出したのは1985年。よって、日本は36年以上、この分野でアメリカに依存することになる。
・アメリカは、技術の独占と外交的通商的圧力で宇宙開発全般の優位を保ってきたが、最近、偵察衛星、測位衛星(GPS用)の分野でロシア、欧州、中国などにその独占が破られている。が、日本はこの分野でも大きく出遅れている。

政治家の理系工学系の教養の必要性が説かれているが、これはメディア側にも言えるところ。個人的には、文系理系を横断するメディアづくりを目指したいところ。

投稿者 esaka : 2004年03月18日 03:03

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コメント

複雑なものだから、失敗があるのは避けられないこと。外国でも軍事用に開発したとき多くの失敗があった。日本でもそれを理解し進めていく必要がある

投稿者 HI : 2004年12月05日 01:31

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