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2004年03月03日

●ジョセフ・E・スティグリッツ『人間が幸福になる経済とは何か』

原題「The Roaring Nineties」=「狂騒の90年代」。翻訳書は、タイトルが酷いのが多いが、これも原題のままのほうが、著者の意図がわかりやすい。前著『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(これも原題は「Globalization and its discontents」)では、徹底してIMFが批判されていたが、今度は、視点を拡げて90年代のアメリカとは何だったのかを検証する。クリントン政権で経済諮問委員会委員長、2000年まで世界銀行上級副総裁を務めるという、アメリカの経済政策運営に関わった立場から、何ができて何が失敗したのかを改めて問う。不公正なグローバリゼーションへの批判は続いているわけだが、さらにエンロンの不正が発覚したこともあって、行き過ぎた規制緩和、不正会計操作、貪欲な企業、銀行の荷担・・と90年代の経済政策をけちょんけちょん。
それで〜も、「エピローグ」の部分だけで検証されているブッシュ政権のほうが、グローバリゼーションへの取り組み、規制緩和、無分別な税制改革・・とさらに酷い。
世界中がブッシュ政権に振り回されている現在では、ブッシュ批判を展開したクルーグマン本のほうが刺激的だったが(新聞のコラムだから、より時代にマッチしているのは当たり前だが)、アメリカの90年代とは何だったのか、ということをより冷静に振り返ることのできる2,3年後・・には、スティグリッツのこちらのほうが残るかもしれない。まあそれも、大統領選次第なんだけれど。

「狂騒の90年代をめぐる議論の根底には、われわれの価値観や社会がどのように変わりつつあるかという関心があった。私と同世代の人びとは、とりわけこうした変化に敏感だと思う。私たちはジョン・F・ケネディに次のように言わしめた時代に育ったからだ。「国が自分に何をしてくれるかと問うのではなく、自分は国のために何ができるかと自問してほしい。」・・
 狂騒の90年代はアメリカ人をつくりかえる役割を果たした。」

投稿者 esaka : 2004年03月03日 18:05

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