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2004年01月31日

シングルCD販売、98年の2/3

朝日新聞「音楽の流通革命始まる」から。シングルCD販売が落ち込んでいると聞いてはいたが、ここまでとは・・。98年の6千億円から、4千億円(03年推定)に。02年から約400億円減。98年をピークに、以降急激に下落している。
朝日の記事では、CDの売り上げが低下したけれども、別の販路が成長してきている、という。そのひとつは、『タイムスリップグリコ 青春のメロディ』。300円の食玩で、半年で600万個販売。03年の売り上げは約18億円。あとは着メロ。1ヶ月800万曲ダウンロード。03年売り上げは約50億円。しかし、これで、400億円減った分を埋められるわけもなく・・。
たとえ、ネット配信が日本でも成功することになったとしても、音楽業界そのものの凋落傾向は止まらないだろう。

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2004年01月30日

●阿部潔『公共圏とコミュニケーション』

ハーバーマスによって再構築されたフランクフルト学派とカルチュラル・スタディーズという知的プロジェクトを、メディア/コミュニケーションを対象とした「批判的研究」の事例として選び出し、その思想の可能性と課題を「公共圏」との関連で論じるもの。ここでの「批判的」とは、「価値コミットメントを伴った「思想」をバックボーンとして、現実社会に切り込んでいこうとする知的営為が指し示すもの」とのこと。全体の構成がクリアでわかりやすい。最終章からメモ。

「今日のインターネットやマルチメディアを巡る研究を動機づけている「要求」の多くは、「経済・産業的なもの」と「政治・行政的なもの」であるとの印象を拭いがたい。・・そうした動向に対抗すべく批判的研究は、技術、産業、制度・政策とは異なる「文化の論理」のもとで独自の議論を展開していかねばならない。
 「情報化」は、技術的に問題を解決するのみならず、社会的矛盾や対立を結晶化し、より鮮明なものとして浮かびあがらせることもありうる。・・情報化社会=現代社会が高度化していく過程で益々深刻な問題として顕在化しつつあるものの一つが、広い意味での「民主主義の危機」である・・
 批判的メディア/コミュニケーション研究に求められていることは、「近代的啓蒙」という教条を無反省・無自覚に掲げるのでも、状況追認的に相対主義に陥るのでもなく、現実から突きつけられる諸矛盾に真摯に耳を傾ける「醒めた理想主義」のものとで、社会関係における「規範」の問題に取り組むことであると思われる。・・
 今後一層の進展が予想される情報化社会を対象とする批判的研究には、未来をいたずらにバラ色に描くのでも現状をただ悲観的に嘆くのでもなく、「現実」を冷徹に見つめながら「より良い社会」を目指すことが切に求められているのである。」

〜〜〜〜〜〜
 最終章で書かれている方向性は、とても納得がいくものだし、まず研究の対象としてフランクフルト学派とカルチュラル・スタディーズが選ばれているのもとて面白いと思う。だからいっそう次のステップを読みたいもの。

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2004年01月29日

コメットさん&小山田シン

このところ、ひどい眼精疲労で、モニターを見るのがつらいので、blogの更新を怠りがち・・。
というわけで、今日はちょっとユルい話題を。家人が隣でやっているblogが、なかなか面白いことになっていて、海外からのコメントが急増中だ。
ひとつは「Senorita Cometa」。九重佑三子の「コメットさん」が中南米でこんなに人気とは・・。
もうひとつは、映画『ラスト・サムライ』で、渡辺謙の息子役を演じた「小山田シン」という俳優さんについて。ベルギー、インドネシア、フィリピン、ブラジル・・ファンって凄いですね。。
どちらも情報を求めて、スペイン語とポルトガル語と英語が入り乱れてます(^^;)。

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2004年01月28日

●水谷雅彦『情報の倫理学』

『情報倫理学』編者の水谷氏の論文をまとめたもの。プライバシー、知的所有権、技術倫理、フィルタリング、電子討論と匿名性・・とひじょうに刺激的なトピックが並んでいるし、紹介される事例も面白い。が、やや網羅的でそれぞれにもう少し突っ込みがあってもよかったかな・・これからの論文に期待。

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2004年01月25日

●井熊均『燃料電池ビジネスの本命“住宅市場”を狙え!』

燃料電池が社会に与えるインパクトは、ある意味インターネットが‘革命’と言われていた以上のものだろう。その普及も予想以上に早いものになりそう。この分野は、ひじょうに面白い。

・都市ガス会社や家電メーカーは、家庭をターゲットにした1キロワットのPEFCを開発。
・燃料電池自動車(FCV)よりもコストダウンのハードルが低く、商用化が近いため。
・世界の燃料供給方式の主流は、車上改質方式だが、トヨタ、ホンダは純水素を燃料とする方式。
・バラード・パワー・システムズ(BPS)は、インテルにたとえられPEFC関連の応用特許をほとんど持つ。そのため、多くの企業がスタックの提供を受けるしかない。
・しかし、トヨタは、FVCの量産化を見据えて、アイシン精機などとスタックを開発する自前主義。
・東京ガスの事業化のスケジュールは、2004年度に、発電効率30~31%、販売価格は100万円を目標。荏原バラードグループ、松下電器産業をパートナーに。
・原燃料1に対し取り出すことのできる水素の量は、LPG0.448、ガソリン0.440、灯油0.437。
・政府の燃料電池導入目標は、2010年までに累積で210万kw、2020年までに1000万kw。210kwは電力9社の発電設備出力の5%。これを1kwの燃料電池で換算すると、2010年までに約120万台。2005年の実用化から2010年までは50万円/台、2010年以後は30万円/台で試算すると、2010年までに6000億円、2020年までに1兆3500億円の市場となる。
・燃料電池が家庭内に普及すると、電化製品はコンセントが必要なものと不要なものに2分化されていく。
・燃料電池の発電効率はもっと高くなる可能性がある(理論効率は83%)。内燃機関の理論効率は64%。
・将来の水素を貯蔵する方法として最も期待されているのがカーボンナノチューブ。
・燃料電池を使った分散型エネルギーシステムは、4つの段階に分かれる。エリア分散→施設分散→個別分散→機能別分散。
・燃料電池の分散型システムはグリッドコンピューティングにたとえられることが多い。

燃料電池そのものもだが、分散エネルギーシステムがすでにここまで現実のものとして考えられているとは。「水素エコノミー」はすでにコンセプトではなく、すでに現実だ。

●関連エントリー
ジェレミー・リフキン『水素エコノミー』

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2004年01月24日

●矢沢久雄『プログラムはなぜ動くのか』

どこの本屋にもたくさん置いてあるこの本を、今さら恥ずかしいのだが、基本が大切、と感じ始めて手に取る。やさしい語り口で、プログラムとCPU、メモリの動きがなんとなくすんなり理解できた気がしたのはよかった・・かな。1月だし‘基礎シリーズ’を続けてみよう・・。

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2004年01月21日

●小倉利丸「監視カメラと街頭管理のポリティクス」

小倉利丸編『路上に自由を』から。
「監視カメラはこの社会の政治的経済的な支配の構造が本来であれば負うべき責任を回避して、社会的な矛盾と不可分に現れる街頭犯罪の原因を犯罪者個人に還元する一方で、社会のなかの低所得層やマイノリティを監視するものだ」という主張。その主張の土台として使われている論文が面白いのでメモ。

・ゲリー・ラフリー『正統性の喪失』。
「1960年代の政治不信が増大し、収入格差が拡大し、伝統的家族が執拗に異議を突きつけられた結果、戦後アメリカでは犯罪の波が生じた。略。[政治、経済、家族] の3つの制度の正統性の衰退は、犯罪に対していずれも同じ意味を有している。」
・ウルリヒ・ベック『危険社会』
「発達を遂げた産業社会は、自ら生み出した危険を「糧」に成長した。その結果、今までの近代社会の基礎を危うくするような、社会の危険状態と政治の潜在的可能性を生みだしたのである」
「危険の増大ゆえに危険社会において、民主主義に対するまったく新しい種類の挑戦が生まれる。危険社会は危険に対する防衛にためするという「正当な」全体主義的傾向を持っている」
・マイク・デイビス『要塞都市LA』
安全は「個人の安全というより、住宅環境、職場環境、そして旅行環境において、個人が『不道徳な』集団や個人、あるいは一般に群衆から隔離されること」を意味するようになる。

安易な監視カメラ礼賛の風潮は確かに問題があるわけだが、「資本主義社会の制度的な矛盾を覆い隠し、犯罪を個人に還元する権力の犯罪観を典型的に示している」というところまで遡るとなかなか出口が遠くなる・・。

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2004年01月20日

●泉谷渉『日本半導体起死回生の逆転』

半導体産業新聞編集長によるニッポン半導体産業の現状レポート。基本的なトーンは、日韓逆転の象徴DRAM市場は、半導体市場の10%にすぎず、日本の半導体産業の構造改革は着々と進んでいる、と鼻息がかな〜り荒い(^^;)。
すでに半導体産業の構造改革の成果が出ている分野として、デジタル家電向けシステムLSI、自動車、ロボット向け、ICタグ、バイオチップ、化学物半導体、ナノテクノロジー・・をあげ、大手企業の大型事業再編、大型国家プロジェクト(あすか、MIRAI、HALCA、ASPLA・・)、九州シリコンクラスター計画、ファブレスベンチャー、大幅に増える半導体設備投資、知的財産権戦略・・と続々と改革の手が打たれている・・というレポート。あまり‘日本’‘日本’と言われると、シラケるが、現状を理解するには格好。動きが早い分野だけに、情報の日々のバージョンアップが必要だ。

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2004年01月19日

「Webの現在・過去・未来」

『Web Designing』2月号で、Netscape1.0が生まれてからのこの10年を振り返る「Webデザインの変遷」という特集でアンケートに答える。質問は、「10年前、Webについてどう考えていたか」「これまでに決定的に影響を受けたWeb作品はあるか」・・など。
影響を受けた作品として今はなき「WORD.COM」を挙げる。ちょうど、誌面で隣に並んでいるのが、「WORD.COM」のアートディレクター、Yoshi Sodeoka氏だったのも、何か感慨深い。「WORD.COM」は、ウェブ雑誌のきちんとしたフォーマットが出来上がっていない1995年頃、テキストとデザインを刺激的な形で融合させるwebならではの新しい雑誌の形を模索し続けていた。こんな楽しいものができるなら、web雑誌をやってみたいとはじめて感じさせてくれたサイト。Hotwiredの初期もインターフェイスデザインなどの影響を受けているけれど、「WORD.COM」のようなウェブ雑誌を、と95年に作ったのが「NODE246」(去年、サーバーに再アップしました)。
96年に、「WORD.COM」の編集長Merisa BoweさんとYoshi Sodeokaさんに話を聞きにNYへも行っている。その時の取材原稿は、いろいろあって未発表になってしまったけれど・・。

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2004年01月18日

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乗客の個人情報をNASAに

Yahoo Newsから。9.11直後、ノースウェスト航空がNASAに大量の個人情報を提供していたことが発覚。情報は、予約に使われた乗客のクレジットカード、住所、電話番号など。NASAネームズ研究センターで、航空機テロ対策の極秘研究用だという。
NASAが、というのも興味深い。先日、ブッシュが発表した「新宇宙計画」には驚いたけれど、宇宙産業の担い手も、軍需産業と重なる企業が多く、クリントン政権下で、冷遇されていたことを考えれば、イメージアップとともに、特定の企業からの支援を狙った選挙対策だということが見え見え。
しかし、「監視社会」ネタは、調べていても暗くなるばかりだが、メモ。

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2004年01月17日

ドイツの放浪職人

17日のNHK-BSで「放浪職人“ヴァルツ”が行く ドイツ・若者たちの大工修業」を観て驚く。ドイツのマイスター制度は、厳しいものだとは聞いていたが、これほどとは。番組案内にこうある。
「ドイツの職人世界には、11世紀から現代にまで続くユニークな制度がある。有能な大工の親方になるために、厳しい放浪修業を課す「Waltz」(ヴァルツ)という制度である。若者達は、家族を残して故郷を離れ、ヨーロッパ各地の工房を点々とする。移動は徒歩とヒッチハイク。この放浪を通して、技術を磨き、親方に必要な精神を鍛錬していく。放浪修業に挑む若者を密着取材し、中世より伝わるドイツの職人世界を描いていく。」
マイスター制度は、徒弟、職人、親方(マイスター)と3階層に分かれていて、親方になるために、工房での3年の労働か、3年と1日の放浪修業が課されている。現代ではさすがに放浪を選ぶ若者が少なくなっているが、現在、150人ほどが放浪して、歩いて(もしくはヒッチハイク)各地の工房を回り、職を探しながら修行する。運良く職が見つかり、そこで大工や家具職人としての仕事が見つかればいいが、そうでなければ野宿をしなくてはならない。
放浪職人には、他にも厳しい決まり事がある。古くから伝わるコールテン素材の黒色のジャケット、パンツにベスト、そして白いシャツと黒い帽子。持ち運べるものは、着替え一式とわずかな下着。親の葬式以外は実家に帰ることは許されない。そして、各地の職人組合に古くから伝わる儀式があり、その儀式に則った挨拶を交わす必要がある・・。
こうしてドイツだけではなく周辺各国まで放浪した後、マイスター試験を受け、その試験に合格して始めてマイスターの資格を得ることができる、という。

プロテスタントの「働く倫理」が関係あるのだろうが、技術だけではなく、職を得ることの難しさや嬉しさや働くことの楽しさを感じることが重要だ、ということなのだろう。
ヨーロッパの奥深さを見た思い。こうした厳しい修業の上に成り立つマイスターは、社会的にも、医者や弁護士同様の高い地位だという。職人へのこうした尊敬の念があるからこそ、家や家具も、貴重な財産として長い間丁寧に扱われるのだろう。美しい家並み、街並み、の背景にはこうした制度、意識がある。
昨年、ヨーロッパの社会構造、社会制度に関心をもち、何冊か関連本を読んだ時期があったけれど、再び、ヨーロッパ社会へ興味がわく。

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2004年01月15日

●小倉利丸「日本型監視社会に対抗するために」

『世界のプライバシー権運動と監視社会』から。強力な内容。
「監視社会への批判は、個人のプライバシーや自由の権利を守る上で必要なことであるが、もはやこうした個人的な自由権のレベルではとどまらない、より構造的社会制度的な問題にその射程を拡げないことには有効なものにならなくなっている。・・
 監視社会がいたずらに扇る恐怖と不安という仕掛けをまず私たちは冷静に見定め、その大半が監視ビジネスや政治的な思惑で生みだされた上げ底の恐怖である可能性をきちんと判断しなければならない。・・
 監視社会がIT化によって、大きな技術的な「進化」を遂げつつあるとはいえ、・・こうした監視社会を支える日本の社会が長年維持してきた「世間」的な相互監視やナショナリズムにより排他的な新庄などが再生産されている限り、IT監視社会はなくならない。監視社会の解体とは日本の社会の負の伝統的な監視の文化、価値観ともいうべきものとの戦いも避けることはできない。」

その他、気になった情報。
・情報セキュリティ市場は90億円弱だが、警備業で見た場合2兆円。
・バイオメトリクス市場は47億円(2002年)。その8割が指紋認証市場。2005年には3倍の150億円を目指している。
「オークランドトリビューン」の記事によると、アメリカの諜報機関、反テロ対策機関がテロリストとして監視、情報収集のターゲットとしているなかには、反戦運動家が組み込まれている。またテロリズムを爆弾や殺人といった事柄に限定するのではなく、経済活動を阻害する行為もテロを見なすため、労働者のストや、自転車による路上占拠デモ(クリティカル・マス運動)も情報収集対象となっている。
・ワールドカップの前に成立した改正入管法では、日本国内で違法な行為が行われなくても‘予防拘束’が可能になった。

 

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2004年01月13日

●ウィリアム・ボガード『監視ゲーム』

副題「プライヴァシーの終焉」。原題「The Simulation of Surveillance ──Hypercontrol in Telematic Societies」。フーコーの監視論と、ボードリヤールのシミュラークル論を基礎に、‘監視のシミュレート化’が起こる超管理(ハイパーコントロール)社会を語る。ひじょうに興味深いのだけれど、ポストモダンな学者にありがちな読むのに厄介な語り口。途中で面倒になってさらっと流す。また読み直す時があるか・・な。
訳者あとがきの言葉から借りると「一般の管理社会論が政治権力や、大企業による支配を告発するスタンスをとりがちなのに対して、本書には特定の管理者は登場しない。観察者までもが観察されてしまうという、ある意味でより厄介な社会像である」。

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2004年01月12日

無印良品の家

muji040112.JPGネットコミュニティをつくって、住宅を作ろうという無印良品の動向には、昨年あたりから注目していたが、着実に進化しているようだ(無印良品の品揃えや、今のイメージに好感を持っているわけではないけれど)。久しぶりにサイトを見ようと思ったのは、今朝の新聞に出された見開き広告がきっかけ。昨年、春に続く広告のシリーズだが、なかなかよくできたコピーだと思うので、メモしておく。
 
 写真はアフリカのカメルーン北部の山間地域にある「ディリ」という名前の小さな村です。かつてこの地を旅したフランスの作家、アンドレ・ジイドが「世界で一番美しい村」と称した場所。それがこのディリかもしれない。そんな噂のある村です。
 電気もない、水道もない。もちろんテレビもない。村の中央にはひとまたぎで越えられそうな小川がひとすじ。土壁に草葺きの屋根を乗せた住居が濃い緑の中にぽつりぽつりと顔をのぞかせます。家々の周りには家族が食べるだけの穀物が植えられ、食事時になると家々の草屋根からゆっくりと白い煙が湧き出してきます。「なにもないがすべてがある」そんな形容がふさわしい静かで豊かな光景です。
 さて、私たちの暮らしはどうでしょうか。経済がいかようであれ、日本に住む私たちの暮らしも豊かでなくてはなりません。地球や資源の限界を自覚し、県境に対する慎ましい配慮も生まれてきたはずの日本です。自然を汚す過ちを犯したけれども、それを回復させる努力を行うことで、鮭の上る川を取り戻した日本でもあります。自分たちの都市が決して美しいとはいえない様々な矛盾を抱えていることに気づいてからすでに久しい。そんな私たちが、これから向かうべき暮らしとはどんなものなのでしょうか。
考えてみると、私たち日本人は自分たちの住まいをしつらえていく規範を長い間持たないで暮らして来ました。西洋化、近代化を目標にして、伝統的な日本の住まいを手放して以来、百年以上の歳月が過ぎました。しかしながら、現代という時代を暮らす住空間として、世界に誇れる住まいの形を私たちは手にしていません。
 いかによりよく住まうか。この基本的な問いをまず発してみてはいかがでしょうか。そこから自由にご自身の住まいを構想してみてください。夢を語るのではなく、現実として。ただし、その形を「2DK」とか「3LDK」などという記号に置き換えることはやめてみましょう。不動産売買のチラシにいつの間にか影響を受けて、本来は自由であるはずの住まいの姿が私たちの意識から遠ざかっているかもしれません。豊かさのひとつは、人それぞれの営みにふさわしい住まい方を発見していくことではないかと無印良品は考えています。
 無印良品はいくつかの方法で住まいを提案します。そのひとつは「編集」という考え方。生活の空間は建築の都合で決められるものではありません。むしろ暮らしが積み重なって、住まいの空間が育っていくと考えた方が自然でしょう。五〇〇〇アイテムにのぼる無印良品の商品はバラバラな製品ではありません。すべての製品の背景には究極のシンプルを目指す明快な思想があります。従って、それらは単なる商品の集合ではなく、自由に選べる五〇〇〇アイテムとして編集された「暮らし」なのです。・・略。
 ふたつ目は居住空間としての「インフィル」への取り組み。建築の構造体を「スケルトン」と呼び、目的に合わせてしつらえる内部を「インフィル」と呼びます。マンションの老朽化やビルの空きスペースの増加が問題となる日本では、インフィル再生への対応が今後大変重要になっていきます。無印良品は、床・壁・天井・水まわり・収納などを極めてシンプルに再構築するプロジェクトに挑戦しています。その第一号は、合理的な収納を考えつくすこと、そして空間の分割を廃することにより、ゆったりした一室空間として誕生しました。生活の変化に応じて間取りを自在に変化させることのできる新しい住まいです。略。
 これらをさらに発展させて、木造住宅、そしてコンクリート住宅の構想も進んでいます。略。無印良品は着実に、そしてていねいに「家」に向かいます。

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2004年01月11日

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2004年01月09日

●シムソン・ガーフィンケル『暴走するプライバシー』

凄いタイトルだが、原題は「Database Nation」。出版された2001年1月に目を通した時には、あまりピンと来なかった事例が、今では一気に身近な問題として理解することができる。
「ことプライバシーに関して、テクノロジーは決して中立ではない。むしろプライバシーを侵害する傾向のほうが、圧倒的に強い」という主張に基づいた事例を細かく紹介。原書のサブタイトルは、「The death of privacy in the 21st century 」。かつてレイチェル・カーソンの『沈黙の春』が環境保護運動に火を付けたが、プライバシー問題における「沈黙の春」となることを目指したという。紹介されるのは、バイオメトリクス、無線ID、監視カメラ、ナショナル・データベース構想、医療記録の悪用、マーケティングの暴走、個人情報の商品化、独り歩きする遺伝子情報、知的所有権のミクロマネージメント、個人化するテロリスト(すでに炭素菌を問題視)・・。
 瀕死の状態にあるプライバシーに対し著者の立場は、「その気になればプライバシー問題も、政府の力で打開できるに違いない」というもので、プライバシー監視委員会の設置、公正信用報告法をデータ保護法へ、技術評価局の復活を提案している。
それでも、この本が書かれたのは、9.11以前。紹介されていたFBIのニューヨーク支局長の言葉が印象に残る。
「たった1人のテロリストが1万人以上も殺害できる日がきっとくる。・・もしそうなったら、議員や世間が大騒ぎし、二度とテロが起こらないような厳しい法律が制定され、正真正銘の警察国家が誕生するだろう」

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2004年01月08日

JALが成田・仁川で生体認証チェックイン

6日のエントリで、アメリカの航空利用者への監視強化について書いたところだが、日本航空が、成田と韓国の仁川で、顔と虹彩を使う生体認証システム「e-チェックイン」の実証実験を開始(yahoo news)。搭乗手続きの時間短縮のため、という名目だが、やはり、日本の航空会社もセキュリティ強化する流れはますます強まりそうだ。あくまで途中経過ということでメモ。

●関連サイト
成田・関西空港に秘密の顔認識システム配備完了(02年12月30日)

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2004年01月07日

●フランク・ウェブスター『「情報社会」を読む』

原著は、95年の出版。この分野は、変化が激しいだけに、8、9年のギャップは致命的になる場合もあるのだが、この本の内容はまったく古くなっていない。‘インターネット’さえ一言も登場しないけれど。日本では2001年8月に出されたこの本を、今頃読んだことが悔やまれる・・。
現代世界の特質として「情報」を挙げる論者が増え、すでに「情報時代」に突入した、と語られることが多いが、それは本当か?という主旨。参照される論客は大きく二つに分かれ、‘新しい社会が来た’とする論者として、
ダニエル・ベル(脱工業社会)、ボードリヤールやマーク・ポスター(ポストモダニズム)、ラリー・ヒルシュホーン(柔軟な専門家)、マヌエル・カステル(発展の情報様式)。
連続性を強調する論者として、
ハーバート・シラー(ネオ・マルキシズム)、ミシェル・アグリエッタ(レギュラシオン理論)、デヴィッド・ハーヴェイ(柔軟な蓄積)、アンソニー・ギデンズ(国民国家と暴力)、ハーバーマス(公共圏)。
そして、著者は、前者を技術決定論で検証に耐えないと退け、歴史的な源流は連続性という視点から説明すべき、と後者の立場を支持する。
(ウェブ)雑誌業界にいると、「連続性」というよりも、一見刺激的に見える「変化」を好み、新奇性を強調しがちだが、より長期的な視点を持たなくては・・と自分に言い聞かせる。

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2004年01月06日

US-VISITプログラム

アメリカへ入国の際、指紋と顔写真撮影の義務化する「US-VISITプログラム」が始まった。以前からWIRED NEWSで流れていたので動向が気になっていたのだ。ビザが必要な入国者が対象で、日本人の場合、長期滞在以外の観光、商用は対象外らしい。すべての入国外国人だと誤解してた・・。
この秋から、バイオメトリクスを記録したチップ付きの旅券がないと、短期滞在でもビザを義務づけることも決まっている。日本もアメリカの動きに乗じて、一気に入国審査を厳しくしていくことになるだろう。
●関連エントリー 「英でIDカード論争」

「US-VISITプログラム」に対して、「外国人をすべてテロリスト扱いするのか」という意見がある、とテレビで紹介していたが、厳しく監視する航空機利用者は、外国人だけではない。昨年のWIRED NEWSから、関連ニュースをピックアップしてみると・・なかなかとんでもないことになりつつある。

米国が国内旅行者のセキュリティーチェックを強化
ここまで見られている、旅行者のプライバシー
米当局、搭乗客の裸体まで映し出すボディースキャナーの導入を検討                     
米航空会社が客室への監視カメラ導入を計画
連邦政府、飛行機の操縦室と客室へのカメラ設置を検討

セキュリティを強化するという大義の元に、ここぞとばかりに関連産業が色めきだっている様がみえるようだ。この流れは、911以降というよりも、ブッシュ以降といったほうがいい。クリントン政権下で、長い間冷や飯食わされていた軍事産業の復元力は凄い。
数年後の世界情勢の行方を決定づけることはももちろんだが、ビジネス的にどの業界が活性化するのかということも、今年の大統領選の結果が大きく左右する。

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2004年01月05日

ネットで車検・登録

今日の朝日一面(asahi.com)。複数の役所に出かけなければいけなかった新車登録や車検の手続きが、自宅からインターネットでできるというシステム「自動車保有関係手続きのワンストップサービスシステム」を国土交通省が作り始める。
新車登録の場合、本人確認のため印鑑証明書が必要だったが、インターネット経由で、住基ネットのIDカードを使いアクセスし、必要な住所・氏名などを新しく立ち上げる専用サーバーに登録。
警察署(車庫証明書)、運輸支局(車検証)、都道府県税事務所(納税証明)には、このサーバー経由で情報が届く。各種の税金や手数料は、ネット上で支払うことができる。年間4千万件の車関係の手続きの簡略化と、それにより自動車販売店の代行手数料値下げに期待(これまで新車登録時約4万円、車検時1万円)、という。
今春、東京、神奈川で実証試験し、05年に一部の実用化へ。
〜〜〜〜〜〜
現行の登録制度、車検制度は、面倒でめちゃくちゃなことは明らか。これが簡素化され、代行手数料が値下げされるのはいい。が、e-japan向け予算配分に乗り遅れまいとする国交省の焦りを感じる。あとは、こうして徐々に進むデータベースの統合と、さらにそのうち電子化されるだろう免許証と住基カードがどうなるのか・・。

●関連エントリー
岩田昭男『ICカードビジネス』
櫻井よしこ『あなたの「個人情報」が盗まれる』

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2004年01月04日

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為替介入20兆円超

年末、財務省の発表によると、12月に実施した為替介入額は、2兆2519億円。これで、1月からの累計は、20兆573億円。過去最大だった99年(約7兆6400億円)の2.6倍。
これで、外貨準備高は、約6400億ドル。
介入に使う円資金の借入枠を、04年度予算で現行の79兆円から140兆円へ。

外国為替平衡操作の実施状況(財務省)
外貨準備高等の状況(財務省)

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2004年01月03日

明けましておめでと

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明けましておめでとうございます。

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